不登校学習支援センター開設のご挨拶

近年「アダプティブスクール」や「オルタナティブスクール」などの単語を見たり聞いたりすることが増えてきました。これらは、従来の「学校」という既成概念にとらわれない柔軟な発想で教育を行う「学校」として存在しています。

そもそも学校とは、学校があって生徒の皆さんがいるのではなく、皆さんの学びたい気持ちがあって、そしてそこに学ぶ場所として学校があるのではないでしょうか。個人個人が必要とし、育みの環境があってこそ自分自身にとっての真の「学校」になり得るのです。一人ひとりの姿形が違うように、取り巻く環境も育ち方も様々であるように、学び方も人それぞれです。

このような中で、保護者の方におかれましては、お子さまが不登校であったり発達に心配があったりということで深く悩まれていることと思います。特に進学のことや将来の自立に関する悩みは深刻でよくご相談をいただきます。実際のところ短期間での解決は難しいことが多いのですが、長期的にはお子さまたちのほとんどが進学できたり、復学できたりしています。

一番大切なことは、お子さまの心の成長を暖かく見守る気持ちにあると私どもは考えています。

学校へ行かない姿を見てしまうと、どうしても通学を促してしまいそうになりますが、そうすることがプラスに働くことはあまりありません。穏やかで自然な会話の積み重ねの上で一緒にできることを寄り添いながら相談し合える方が良いと思えます。また、お子さまたちは見た目以上に多様なことを悩んだり考えたりしています。

普段の指導においても、こちらから通学の促しをせずにコミュニケーションを続けていくことを心掛けています。また、教室は周りの視線が気にならない半個室とフリースペースを設けています。落ち着いて集中できる学習環境となっておりますので、よりストレスを感じることのない空間で個性に合わせて学習できるようになっています。

そして人生として考えると、人にとって楽しいことの1つは、ひとつのことを多面的に捉えて新たな気づきを学ぶことです。この学ぶことの楽しさに気づくと、立ち上がるための足掛かりになります。

また、人にとって嬉しいことの1つは、人から喜ばれることです。本来学ぶことは、そのための選択肢と可能性を広げるためにあります。自分自身がいかに社会や人と関わるのか、どのような存在でありたいのか、それこそが学ぶ目的です。この目的が明確になったとき、人は自身が持つ最大限の力を発揮することができ、未来の自立した自分創りにも繋がります。

現在どのような状況であっても、お子さま自身がなんとかしなければと思い悩み、どうしたら良いか分からず、不安と焦りを募らせ苦しまれている場合が少なくありません。私どもは、それぞれの現状をそのまま受け容れて向き合いながら、抱えている問題は、お子さま自身の力で克服できるという信頼感を持ち接しています。そのうえで保護者さま、お子さまと共に歩み続けたいと願っています。

さいたま不登校学習支援センター アソマナ学園   太田樹男